心を軽くする方法~鉄心blog

心理学で心を軽くする方法。心理学で心をひも解き、相手も自分も理解しあう事が出来る。【心理研究家】佐屋鉄心

認知行動療法

自分の感情を把握する事の難しさ

認知行動療法を行うときには、自分の感情を把握する必要があります。
これが意外と難しいことで、なかなか自分で具現化できない事も多くあります。
出来事に対して自分の気持ちから出てきたものが「感情」ではなく「思考」になっている人が見受けられます。
例えば、「上司に怒られた」という時に、「上司が間違っている」「私は悪くない」と思うことが感情だと思っているケースがあります。
これは感情ではなく思考結果です。
上司に怒られた→上司が間違っている
ではなく
上司に怒られた→感情→上司が間違っている
となります。
認知行動療法で行う作業の中で、出来事に対して分析を行う方法があるのですが、この感情の部分がなかなか出てこないという方は多くいらっしゃいます。
これは、反射的に思考している方に多く、言葉にすることが難しいということもあります。
このために感情を日々書き出すという作業を前段階に行うのですが、そのような方は難しいと感じて止めてしまう事が多いのは否めないことなのかもしれません。
ですが、自分の感情を把握して、自動思考と感情の元になっている自認知の歪みを修正するには最初の感情を把握する事は必須です。
日々、自分が感じている感情を考えるクセをつけると、自分の中で起こっているプロセスをひも解くことが出来るようになっていきます。
まずは、頭の中でも良いので『今の自分はどんな感情なのだろう?』と問いかけるクセをつけることが大切です。

自動思考とスキーマの修正

自動思考とスキーマの修正

認知行動療法では、自動思考とスキーマの修正も行います。
自動思考とは、「物事に対して感じた瞬間的なイメージ」です。また、スキーマは「自動思考を決定付ける自己のルール」のことです。
自動思考はスキーマが元になっていて相互で情報を交換しているともいえます。
認知行動療法は段階的に自身の変化を促して行きます。
スキーマを修正すれば自動思考が修正されるのでは?と思われるかもしれませんが、根本にあるスキーマは簡単には変える事が出来ず、むしろ変える事による弊害が起こる場合もあるので、表層に近い部分から修正を行っていきます。

では、自動思考とスキーマの修正に関して書いていきたいと思います。
まずは自動思考の修正から。
自動思考は無意識的に現れます。クセとも言っていいと思います。
例えば、仕事を失敗して上司に怒られているシチュエーションで『自分は悪くない指示が悪いんだ』と瞬間的にイメージしたとしましょう。ちなみに感情は怒りなどになると思います。
では自動思考が怒りを生んでいるのですから、怒りを覚えないための自動思考はどのようなものが必要でしょうか。
この場合だと、指示が本当に悪かったのかを検証してみましょう。
いつも通りの指示でいつも通りの結果だったのでしょうか?
又は、いつもとは違っていたのでしょうか?
様々な観点で考えて行きます。
そうして指示が本当に悪かったのかどうかを考えたら、次は自分が悪かったのかを考えます。
いつもと違う事をしていないか?
指示を勘違いしていなかったか?
考えた結果、自分が悪くなく指示が悪かったと最初に思った通りの事実であれば、本来怒られなくていいことで怒られているのですから、相手に事実を伝えることがスマートな方法です。
怒りを覚えるまでも無く、事実に則った結果にすることが出来ます。(自分が正しいのに言えないというケースもありますが、また別の自動思考になってしまうのでここでは割愛します。)
又は、最初の自動思考とは事実が違った場合(自分が勘違いをしていた。指示はあっていたなど)は事実と自動思考が違っていたのですから、自動思考を変えるのが得策です。
では、自動思考を変えるには何故その自動思考が出たのかを考える事が必要です。
『自分は悪くない指示が悪いんだ』と思ったのは、他者を否定する事による自己正当化をしようとしているからです。
自己防衛でもあります。
自分が間違っていると認めると、自分はダメな人間だと思ってしまいマイナスな感情になるのを回避するための自動思考だと考えられます。
この場合は、事実を認め自分の非を反省する事で自動思考への対処となります。
相手のせいにするのではなく、また自己否定ではなく自己改善をするという自動思考をもてるように意識する事が自動思考の変化となります。
ここまで考えるようになると、その時の感情はマイナスになるかもしれませんが、後からその感情が間違っていると気が付くと、気持ちも楽になります。
自動思考の変化を意識するとマイナスな感情を薄める事が出来るのです。

次にスキーマに関しても考えてみましょう。
上記の場合、『自分は悪くない、指示が悪いんだ』と思った原因のスキーマはどのようなものが考えられるでしょうか。
他者を否定する事による自己正当化だったとすると、その裏には『自分は正しくなければならない』という思いがあります。
これがスキーマです。
『自分は正しくなければならない』ということでメリットやデメリットが発生します。
メリットは正しい行いをしようと誠実な言動を心がけるところでしょうか。
悪い部分は上記のように他人のせいなどにしてしまうことでしょうか。
それぞれ良いところ悪いところがあります。
では、このスキーマを問題のない状態にするにはなにを変える事が必要でしょうか。
『自分は正しくなければならない』を逆にして『自分は間違っている』にしてしまうとまた違う問題が発生します。
このようなスキーマの修正は好ましくありません。
良い方法の一例としては、『自分は正しくなければならない。でも人にとって正しいかどうかはそれぞれ』というように、スキーマにプラスしてみる事もいいと思います。

このように自動思考もスキーマも入れ替えるのではなく、修正を行うことが大切です。





自分がどうなりたいかをはっきりさせる事が大切

認知行動療法は認知の歪みの修正を行い、生きやすい考え方や捉え方を身につけるものです。
ですが、生きやすい考え方や捉え方というのは人それぞれで、「絶対にこれが正しい!」というものは在りません
人それぞれベストな考え方や捉え方があり、認知行動療法はそのゴールに導くためのツールといっても良いでしょう。

認知行動療法で上手くいかないケースとして、ゴールが定まっていない場合があります。
これは、自分がどうなりたいかがはっきりと決まっていないケースです。
頭の中がごちゃごちゃしていて、よく分からないという方が多いように思います。
しかし、自分がどうなりたいかというのは本来誰しも持っているものです。
むしろ、自分がどうなりたいかが無い人は悩みを持ちません。
そういう方は自分が空っぽですので、ただ外部からの感情や思考が入ってくるだけで、そこに問題を発生させません。
逆に言うと、悩みを持つケースは、入ってきたものが自分と違うから問題となります。
自分と違うという事は自分がどうなりたいか、自分がどうしたいかを持っているということです。
自分がどうなりたいかが決まっていないというのは、思考が無意識的に自分を押さえ込んでいることがほとんどで、それに気が付かないように思考が仕向けています。
「やりたい事が見つからない」、「自分が分からない」と言う方は実は無意識的に我慢をしているということです。

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では、自分がどうなりたいかをはっきりさせるにはどうしたら良いでしょうか。
まずは、自分の感情がなにを基準に起伏を持つのかを知ることが第一歩です。
例えば、
「人に対して言いたい事が言えない。でも、言いたい事を言うのは失礼でよくないことだから我慢しよう。うまく言わなくてもすむ方法を考えよう」
という人がいるとしましょう。
まず、「人に対して言いたいことがいえない」というのは『本当は自分の意見を言いたい』という自分がどうなりたいかが存在します。
ですが、「言いたい事を言うのは失礼」という思考が邪魔をして我慢するという方法をとっています。
ただし、我慢だけだと解決にはならないので「言わなくてもすむ方法を考える」となっています。
これでは、本来自分がなりたい自分を押し殺して全く別の方法を模索しようとしています。
ですが、それは本心ではないので良い方法とはなりません。
出発点の時点で矛盾しているからです。

このように自分の感情と思考が不一致だと自分がどうなりたいかが分からなくなってしまいます。
なので、これを解決するには最初に立ち返る事が大切です。
上の例ですと、「人に対して言いたい事が言えない」という部分です。
人に言いたい事があるというのは人として当然です。
集団の中で自己を保とうとするのは自然なことです。その方法として自己主張をするというのもまた自然なことです。
そして、それが受け入れられれば人は満足感を得ます。
それは、生きていれば自然に欲しいと思う欲求です。
なので、「人に言いたい事がある」のは問題がありません。
次に「言いたい事を言うのは失礼」というのも、相手を気遣うというごく自然なことです。
コミュニケーションをとる上で、相手の気持ちをないがしろにするという事は、本当の意味でのコミュニケーションではありません。
相手と自分がイーブンでこそ意思の疎通がはかれます。
こちらも正しい考え方という事です。
「人に言いたい事がある」と「言いたい事を言うのは失礼」はどちらも正しいという事です。
先ほどの例では、「言いたい事を言うのは失礼」という思考を優先して、本来自分がなりたいものを否定しています。結果「うまく言わなくてもすむ方法を考えよう」となっています。
これが無意識的に起こっていると、それぞれのプロセスを見過ごして、自分がどうなりたいのか分からないという状態になってしまいます。
これが、自分がどうなりたいかがはっきりしていない時のケースです。

自分がどうなりたいかをはっきりさせるためには、感情がどういっているのか?思考がどういっているのか?を考える事が必要です。
ほとんどの場合、本来なりたい自分というのは感情が言っていることです。
まずは、感情が言っている本来なりたい自分を意識する事がゴールをはっきりさせる第一歩です。

 

合理的な考えをプラスする

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認知行動療法を自分でするときに気をつけたいことがあります。
認知行動療法では認知の歪みを修正する作業を行います。
他記事:認知の歪みとは 
その時に、自分の認知を感情が納得しないものに変えてしまうことがあります。
これでは、認知を変えてもまた違う問題が発生してしまいます。
例えば、多くの人の前で上手にしゃべることが出来ないという悩みがあるとしましょう。
失敗したらどうしようという自動思考から感情が不安になっている場合だとします。
ここで、自動思考を「嫌われても良い」と言う風に変えてしまうと、実は感情が納得できないまま我慢することになってしまいます。
スキーマが本当は嫌われたくないと思っているからです。
感情を頭ごなしに押さえつけているような状態です。
この場合は、「失敗するかもしれないが成功するかもしれない 」などの自動思考にするほうが感情は納得します。
極端に反対の自動思考にする事は自分が納得行かないものになります。
そこで、自動思考の変化には、合理的な考え方や捉え方をプラスすることが大切です。
感情を無視して元々持っているものを消してしまったり逆転してしまっていてはいつまでも苦しいばかりです。
元々持っているベースは変える事はないんです。
ベースに他のものをプラスするというスタンスが自分の感情もスキーマも傷つけない方法です。

認知行動療法が一人で行うのが難しいと感じている方はここに注意して実施してみると良いでしょう。 

自分の中で起こっているプロセスを分解してみる

認知行動療法では、出来事と感情に対してそのプロセスを細かく分析するという作業を行います。

切り分けや分析をすることで、自分のスキーマを把握し、感情を変える手がかりとします。

では、例を用いて分析の過程を紹介します。

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●出来事
友人に電話したが素っ気無い感じで用件だけを伝えることしか出来なかった。

●気持ち
悲しい

という状況と感情があったとしましょう。

まずは、感情が出てくるときには自動思考があります。思い浮かんだ考えやイメージです。

この場合は、悲しいと感じる前に「嫌われた」などのように捉えています。

では、なぜ嫌われたと思ったかというと、「素っ気無い」=「嫌われた」というスキーマがあります。

これは、その人の経験の中で素っ気無い人は自分に興味がなく、むしろ嫌っているというロジックがあることによって生まれます。

では、これを改善するためにもう少し深く考えていきます。

まずは、事実に沿っていることと、予測や想像していることを切り分けます。

事実
→素っ気無いと捉えた自分
→悲しいと思った自分

予測や想像
→素っ気無い相手
→嫌われている

これを時系列にすると
 予:素っ気無い相手
→事:素っ気無いと捉えた自分
→予:嫌われている
→事:悲しいと思った自分

となります。

相手が素っ気無いと感じた自分は紛れもない事実ですが、相手が素っ気無くしたかどうかはこちらからはわかりません。

丁寧な対応をしなければいけない状況で、それが素っ気無い感じになったかもしれません。

ここで難しいことが、「自分が捉えたことが真実かどうか」疑ってみる事です。

そしてほとんどの場合、考えても真実はわからないという答えになります。

ですがそれでいいのです。決めつけで感情が捉われてしまうのではなく、「かもしれない」としておくことが大切で、実はこれが真実です。

相手がどのような状況なのか、相手がどのような感情だったのかがわからないのですから、「かもしれない」が正しい答えです。

そして、その事実から「嫌われている」ではなく「嫌われているかも、そうじゃないかも」が予測となります。

よって「素っ気無い」=「嫌われた」というスキーマは全てに当てはまる訳ではないということがわかります。

素っ気無いからといって悲しいと感じるのは自分のロジックがそうなっているだけだったのです。

本当に嫌われているなら悲しいですが、そもそも嫌われているというのが事実かどうかがわからないのですから悲しくなる事はないのです。

●出来事
友人に電話したが素っ気無い感じで用件だけを伝えることしか出来なかった。

●気持ち
悲しい

の中には、これだけの考えや予測があり、それを無意識に行っています。

認知行動療法では、プロセスを分解・分析することによって感情を変えることが可能です。

皆さんも、出来事と感情からそれを紐解く作業を行ってみてください。




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