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認知行動療法におけるスキーマとは、「その人の中核となる考え方」です。

一般的なスキーマとは、「枠組み、一連の法則や決まり」という意味です。


スキーマというものは、普段意識することが無く思考の発端を担っています。

例えば、友人と待ち合わせをして待たされたとしましょう。

その時、相手にイライラして怒りの感情を持ったとしましょう。

その時のスキーマは、「約束は守るべき」という自分のルールにあたります。

自分は時間通りに着いたのに、相手はそれをしない事に対して不満を覚えるのです。

このスキーマは、資質や成長の環境によって刷り込まれてきたものです。

イライラという感情が出てくるまでに、スキーマを介し思考していることがお分かりでしょうか。

ですが、普段は感情までの道のりを意識する事は無く、感情だけが目立って認識されています。

そして、大抵の人はその感情だけを何とかしようと考えます。

我慢したり、相手にぶつけたりという行動がそれにあたります。

感情だけに対処をしてもストレスが溜まる事の方が多く、改善策とはいえません。

認知行動療法ではこのスキーマに働きかけをして、その後に起こる感情を変えるというアプローチをします。

そして、大切なのが「スキーマ事態は良い面と悪い面を持ってる」という事をまず最初に知っておくことです。

これは、スキーマを掘り下げていく時に自分を傷つけないようにするルールでもあります。



スキーマに関して、ジェフリー・E・ヤング等が5つのスキーマ領域からなる18つのスキーマを提唱しています。

■スキーマ領域:断絶と拒絶

1・見捨てられ/不安定スキーマ
自分は見捨てられるという思い込み

2・不信/虐待スキーマ
苛められる、拒絶されるという思い込み

3・情緒的剥奪スキーマ
愛情、共感、保護が与えてもらえないという思い込み

4・欠陥/恥スキーマ
自分は生まれつき欠陥人間だという思い込み

5・社会的孤立/疎外スキーマ
仲間はずれで孤独だという思い込み


■スキーマ領域:自立性と行動の損傷

6・依存/無能スキーマ
自分の力では何も出来ないという思い込み

7・損害や疾病に対する脆弱性スキーマ
病気、ダメージ、事故に対して無力だという思い込み

8・巻き込まれ/未発達な自己スキーマ
常に従い期待に応えなければならないなどの思い込み

9・ 失敗スキーマ
常に失敗するという思い込み

■スキーマ領域:制約の欠如

10・権利要求/尊大スキーマ
何でも欲しいがままになるという思い込み

11・自制と自立の欠如スキーマ
自制、忍耐、責任を負うことが無理だという思い込み


■スキーマ領域:他者への追従

12・服従スキーマ
服従しなければならないという思い込み

13・自己犠牲スキーマ
犠牲にならなければならないという思い込み

14・評価と承認の希求スキーマ
常に評価や承認を求めなければならないという思い込み


■スキーマ領域:過剰警戒と抑制

15・否定/悲観スキーマ
常に悲観的な予測通りになるという思い込み

16・感情抑制スキーマ
感情を持ったり表現してはいけないという思い込み

17・厳密な基準/過度の批判スキーマ
常に完璧でなければならないという思い込み

18・罰スキーマ
罰を受けるという思い込み


このように、様々なスキーマがあり、悩みを持っている方はその傾向が強い場合がほとんどです。

認知行動療法では、自分のスキーマを知り、それに対処する事を行っていきます。